小児歯科学雑誌
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臨床
幼児の口蓋粘膜に生じた辺縁性歯牙腫の1例
菊地 恭子藤田 晴子山口 朗髙木 裕三
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2011 年 49 巻 3 号 p. 265-271

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抄録
東京医科歯科大学歯学部附属病院小児歯科外来において,口蓋粘膜正中部にエプーリス様の腫瘤を認め,その病理組織診断では辺縁性歯牙腫であるとされた症例を報告する。患児は2 歳6 か月の男児で,既往歴および家族歴,全身所見に特記すべき事項はなかった。口蓋切歯乳頭部後縁に表面平滑な歯肉色の隆起性病変を認め,デンタルエックス線写真ではその基底部相当である上顎右側乳中切歯根尖部付近に半米粒大のエックス線不透過像を認めた。全身麻酔下にて腫瘤と硬組織を摘出した。硬組織は腫瘤内に,口蓋骨とは独立して存在していた。腫瘤の組織像は,内部にはエナメル芽細胞を思わせる円柱上皮,その周囲に間葉系細胞,それらを間葉系結合組織が覆い,最後に口腔粘膜上皮が取り囲むという4 重の構造を呈していた。腫瘤粘膜下には線維性結合組織の増生と歯原性上皮の小塊が存在したが,炎症性細胞は認められなかった。また,腫瘤内の硬組織は,エナメル質,象牙質,セメント質および歯髄組織の形成がみられる歯牙様硬組織であり,その周囲には歯原性上皮と歯牙腫に多くみられる石灰化球が認められたため,辺縁性歯牙腫と診断した。術後の経過は良好で,再発は認められない。
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© 2011 日本小児歯科学会
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