小児歯科学雑誌
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原著
本学小児歯科における過去4年間の口腔外傷に関する実態調査
松田 貴絵竜 佑宗下村─黒木 淳子
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2013 年 51 巻 1 号 p. 8-20

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抄録

小児の活動範囲は時代と共に日々変化しており,同時に外傷にも多様化がみられ,口腔外傷を主訴に小児歯科外来を受診する患児は増加傾向を示している。我々は,平成20 年から平成23 年までの4 年間で,本院小児歯科診療室に口腔外傷を主訴に初診来院した小児を対象として調査を行い,検討を行った。1 .乳歯では1~3 歳に,永久歯では7~11 歳に,軟組織では1~4 歳に多く,男児の方が女児より多い傾向が認められた。2 .50%以上の患児が受傷当日に来院した。3 .乳歯,永久歯および軟組織のいずれにおいても午後の受傷が多く認められた。4 .乳歯,永久歯,および軟組織のいずれの受傷においても受傷原因は転倒が最も多かった。5 .乳歯,永久歯ともに上顎前歯部の受傷が最も多かった。6 .再受傷した症例は,乳歯で12.3%,永久歯では21.6%であった。7 .受傷様式は,乳歯では脱臼が多く,永久歯では歯冠破折が多く認められた。8 .軟組織の受傷は上下口唇に多かった。9 .歯牙外傷の初診時の対応は,乳歯では経過観察が多く,永久歯では歯冠修復や歯内療法が多い傾向を認めた。

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© 2013 日本小児歯科学会
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