小児歯科学雑誌
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原著
トモシンセシスを応用した新しい側方歯幅径予測法の開発
木舩 敏郎増田 啓次山座 治義野中 和明
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2015 年 53 巻 1 号 p. 27-34

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抄録
トモシンセシスパノラマエックス線撮影装置を使ったエックス線写真は,3D空間マッピング技術から,エックス線像の焦点の合った任意の二点間を立体的に計測できる。下顎永久前歯が萌出し下顎乳側方歯の揃った小児の石膏模型の歯冠幅径をSV(standard value)とし,トモシンセシスパノラマエックス線写真(TSPX)の歯冠幅径の測定値MV(measurement value)を求めた。歯種ごとに補正率αα =SV/MV)を計算し,測定精度を比較した。TSPXの未萌出側方歯幅径に,先行乳歯のαを乗じて予測した測方歯群長を,小野の回帰方程式やモイヤースの予測表と比較した。下顎歯冠幅径MVは臼歯部ではSVより拡大する傾向に,犬歯と前歯では縮小する傾向にあった。女児の左側以外,TSPXから予測した下顎の側方歯群長と,小野の回帰方程式やモイヤースの予測表50パーセンタイル値には有意差が無かった。TSPXを使った側方歯群長の予測は,個人のばらつきを表現できる点で,歯群間の相関を使用した回帰方程式や予測表より評価できる可能性が示唆された。
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© 2015 日本小児歯科学会
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