保育施設の事故防止の一助となることを目的に,2017~2018年の2年間に某認定こども園において頭部および口腔顎顔面部を受傷した695件を対象とし,受傷状況や実態について調査し,以下の結果を得た。
1.受傷件数は4歳児が最も多かった。1人当たりの平均受傷件数が最も多いのは2歳児の3.85件であった。
2.受傷部位は頭部外傷では前頭部,顔面外傷では眼,口腔外傷では口唇が最も多かった。
3.頭部,顔面,口腔のいずれの外傷においても午前のほうが午後よりも受傷件数が多かった。また,受傷時の平均年齢は午前のほうが午後よりも低かった。
4.屋内のほうが屋外よりも受傷件数が多かった。屋外ではグラウンドが,屋内では保育室が最も多かった。
5.受傷園児の平均年齢は屋内のほうが屋外よりも低かった。
6.受傷内容は,頭部,顔面,口腔のいずれの外傷においても打撲が最も多かった。
7.発生頻度は3月が最も多かった。
8.口腔外傷については,屋内よりも屋外のほうが受傷件数が多かった。また,3歳児の受傷が最も多かった。
以上より,認定こども園児の頭部および口腔顎顔面部外傷について,起こりやすい年齢,時期,時間帯,場所,および部位が示された。今後は,本調査の結果を事故防止するうえでの基本的な情報として周知し,小児歯科医として園と連携を図り,頭部および口腔顎顔面部外傷への安全対策や啓発活動に取り組む必要があることが示唆された。