小児歯科学雑誌
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脳性麻痺およびダウン症乳幼児の乳歯と成長発育
武田 康男
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1981 年 19 巻 2 号 p. 332-338

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抄録

本研究の目的は,障害乳幼児の早期口腔衛生管理の結果について検討するとともに,とくに胎児期発育状況に関して,齲蝕罹患率の経年的変化の特徴を把握し,更に,管理下においた本資料群から乳歯萌出と全身の成長発育との関係を明らかにすることにある。資料は,北九州市立総合療育センター通園児を主体とする障害乳幼児78名(脳性麻痺児49名,ダウン症児29名)につき得られた萌出乳歯歯数,def歯数,齲蝕活性度テスト所見と身長・体重計測値を用いた。
資料は月齢4カ月から48カ月にわたるSemi-longitudinalなデータで,更に船川の在胎週数別出生時体重基準をもとに,SFD,AFD,LFDの3群に分類した。統計処理の結果以下の所見が得られた。
(1)全乳幼児の26.9%は,SFD児であり,しかも,ほとんど満期産であった。
(2)早期口腔衛生管理の結果,齲蝕罹患率は,著明な減少を示し,初発年齢もおそく,とくにダウン症児に著しかった。
(3)SFD児に関して,脳性麻痺児,ダウン症児とも,1人平均def歯数の経年的変動は,AFD児と異なるパターンを示し,月齢30カ月頃から急激な増加傾向がみられた。
(4) 乳歯萌出と身体成長発育の遅延の間には, 脳性麻痺児では, 有意な正の相関がみられたが,ダウン症児には,全くみられなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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