小児歯科学雑誌
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上唇小帯の付着位置について
佐々木 仁弘守 口修野坂 久美子甘利 英一
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1982 年 20 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
上唇小帯付着位置と正中離開との関係,ならびに切除時期を知る目的で, 岩手医科大学歯学部小児歯科に来院した2~14歳の小児,計498名について小帯の付着位置の距離の測定を行った.
1)付着位置の距離は,2~4歳(3.0~4.0mm),6~10歳(4.0~5.4mm)のそれぞれの年齢間で増加が著しく,4~6歳(4.Omm)ではほとんど変化がなく,11~14歳(5.3~5.8mm)以後では付着位置は一定してくるものと思われた.
2)前歯部交換期の5~7歳児における上唇小帯の付着位置は,永久中切歯群と乳中切歯群の間に差はなかった.
3)正中離開のあるものとないものでは,付着位置の距離は5歳児で離開のあるものの方が小さかったが,他の年齢群では有意差はみられなかった.
4)付着位置の距離の分布状態は,2~7歳児において,乳中切歯群では2.1~6.0mmに,8~14歳児の永久中切歯群では3.1~7.0mmに分布し,永久中切歯群で高い位置に分布していた.
5)上唇小帯の切除術は,低年令での施行はさけ,障害の程度を診査し,9~12歳頃まで経過観察し,その後切除するか否かを診断すべぎであると思われた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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