小児歯科学雑誌
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乳歯隣接面齲蝕に関する研究
第2報 X線診査による乳臼歯隣接面齲蝕罹患状態の調査
秋山 育也天野 秀昭大西 雄三長坂 信夫
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1982 年 20 巻 1 号 p. 165-175

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抄録

我々は,本学小児歯科外来受診者を対象に,X線診査による乳臼歯隣接面の齲蝕罹患状態を調査した.また,X線診査結果と口腔内齲蝕罹患状態との関係について検討し次の結果をえた.
(1)乳臼歯隣接面の齲蝕罹患状態
各歯面で,従来の報告に比べ高い齲蝕罹患歯面率を示した.とくに,下顎第一乳臼歯遠心面は,各年齢で最も高く,重症なものの割合いも高かった.上下顎とも第2乳臼歯近心面,第1乳臼歯遠心面では,増齢的に重症なものが増加を示した.
(2) 視診,触診による検出率
X線診査でエナメル質に限局する透過像を認めたものは,視診,触診による検出率が11.1%であった.重症なものほど高く, 象牙質1/2以上の透過像を示すものでは,71.4%であったが,上顎第1乳臼歯遠心面は,45.6%と低い検出率であった.
(3)口腔内齲蝕罹患状態との関係
dmft指数, dmfs指数とも, 隣接面齲蝕を有するものが高く, とくにdmfs指数は, 重症なものほど高い値を示した.上顎第1乳臼歯近心面では,dmft指数,上顎前歯部症(CBA ABC )dmfs指数とのあいだにも同様の傾向を示した.
咬合面の齲蝕罹患状態は,上顎第1乳臼歯をのぞき,隣接面齲蝕が重症なものほど,咬合面が健全なものの割合いが減少し,C2,3のものが増加を示した.この傾向は,とくに上下顎第2乳臼歯近心面で強くみとめられた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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