小児歯科学雑誌
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幼若永久歯の齲蝕罹患に関する日韓両国学童の比較検討
近藤 奈千子尾崎 正雄柴田 香手嶋 文史塚本 末廣吉田 穣金 晤煥白 秉周李 炳允
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1983 年 21 巻 1 号 p. 94-106

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抄録

韓国(全州市)の小学校6年生177名と日本(福岡市)の小学校6年生217名を対象として,幼若永久歯齲蝕罹患に関する疫学的調査を行った。
第1大臼歯,中切歯,側切歯12歯のDMFSとカリオスタット,アンケート調査をもとに,数量化理論を用いて齲蝕発生要因の追究を行ったところ以下の結果を得た。
1.齲蝕有病者率,Rohrer指数において日韓学童間には有意差がなかった。
2.DMFSと罹患型の比較によると,日本の学童に,有意差をもって臼歯部のみならず前歯部にまで波及した広範囲齲蝕が多発していた。
3.両国学童間には,特に間食に関し差異が認められた。
4.韓国学童の齲蝕多発にはおやつの摂取が,日本学童の齲蝕多発には飲料類の摂取が強く関与していた。
5.両国学童のカリオスタットpH値の比較では,日本学童の方が特に低く,齲蝕になり易い傾向を認めた。
6.日本学童において臼歯部のみに齲蝕を有していた者と,前歯部にまで齲蝕の波及していた者の間には,カリオスタットpHと間食の摂取状況に差異を認めた。
したがって,福岡市学童の広範囲幼若永久歯の齲蝕予防には飲料類摂取に対する注意が必要であることをうかがわれた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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