小児歯科学雑誌
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ラット歯胚における石灰化とγ-グルタミルトランスペプチダーゼの実験的研究
関口 基
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キーワード: ラット, 歯胚, γ-GTP
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1983 年 21 巻 3 号 p. 344-352

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抄録
本研究は,アミノ酸輸送系に重要な役割を担っているγ-グルタミル回路の中心的な酵素であるγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)と,ラット歯胚の石灰化過程との関連性について検索するために,組織化学的,生化学的分析を実施して以下のような結果を得た。
1)ラット臼歯部歯胚におけるγ-GTP活性は,歯胚の形成過程において,エナメル芽細胞,象牙芽細胞の分化がおこなわれているところに局在していた。
2)ラット臼歯部歯胚でのγ-GTP活性,タンパク量の経日的変化には類似性がみられた。
3)カルシウム量の経日的変化は,γ-GTP活性およびタンパク量の変動と較べて相反した変動傾向を示した。
4)アルカリフォスファターゼ活性は,リン量とともに,ほぼ3日間を周期として変動がみられた。
5)γ-GTP比活性およびアルカリフォスファターゼ比活性値は,生後10日前後に著しい上昇を示した。
6)γ-GTP活性の変化は,ラット歯胚の石灰化の指標となりうることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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