抄録
咀嚼筋筋活動中に出現する小児の静止期(SP)とその潜時(La)について観察し,その出現様相を分析することにより,小児歯科臨床応用への可能性について検討することを目的として本研究を行った。
被検者は顎口腔系に異常を認めないcaries freeに近い乳歯列期小児15名と個性正常咬合を有する健常成人11名を用い両群の比較を行った。また,小児15名のうち5名についてはmetal overlayにより実験的咬合干渉を下顎右側第2乳臼歯に付与し,経日的にLaおよびSPの変化を観察した。筋電図記録は76回/分のtooth tapping時の咀嚼筋筋電図を表面銀電極を用い導出し,同時に前額中央部より咬合音を導出し,Data-Recorderに記録した,再生はData-Recorderより波形解析装置ATAC210に咬合音をtriggerとして掃引し,LaおよびSPの持続時間を計測した。
その結果,Laは小児群と成人群とで差は認められず,SPの持続時間は側頭筋,咬筋とも小児群の方が約2msec長い値を示していた。また,咬合干渉によりLaはほとんど影響が認められなかったが,SPの持続時間は側頭筋,咬筋とも有意に延長し,干渉を除去することにより,またもとの値に回復する傾向がみられた。以上の結果より,小児における咬合の機能的診断の一助として静止期を検討することは臨床的にも有効であることが示唆された。