小児歯科学雑誌
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接着ブリッジに関する研究
保持孔のSEMによる観察
後藤 讓治細矢 由美子
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1984 年 22 巻 2 号 p. 491-495

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抄録

接着ブリッジは,若年者の歯頸部歯齦の退縮の対策になるほか,支台歯形成を殆んど必要としないことから,数々の利点を有し,若年者の永久前歯部の審美的な暫間ブリッジとして適したものと考えられる.
接着ブリッジには,舌面板に接着保持を補うための保持孔を有するタイプのものがあるが,保持孔の役割に関する詳細な研究は少ない.そこで,保持孔についての検討の一環として,保持孔へのレジンの侵入状態を知る目的で,抜去歯牙に接着された舌面板5例に設けられた保持孔39例について,走査型電子顕微鏡を用いて観察を行い,次のような結果を得た.
1)保持孔39例中,レジンの侵入状態が適正なもの11例(28.2%),過剰なもの6例(15.4%).一部不足なもの15例(38.5%),不足なもの7例(17.9%)であった.
2)保持孔中へのレジンの侵入状態の不足は,舌面板の保持に支障をきたし,舌面板の剥離の一因になり得るものと考えられた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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