小児歯科学雑誌
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間接歯髄覆罩剤 Procal の乳歯髄覆罩効果に関する臨床病理学的研究
後藤 譲治町田 幸雄
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1984 年 22 巻 2 号 p. 496-503

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抄録
乳前歯の審美的歯冠修復に,コンポジットレジンは多用されているが,乳前歯は歯質が非薄であるために,コンポジットレジンの為害作用を防ぐ目的で,適切な間接歯髄覆罩剤の応用を必要とする場合が少なくない.本実験の目的は,水酸化カルシウム製剤Procalを,人間乳歯のコンポジットレジン修復時の,間接歯髄覆罩法に応用した際の臨床病理学的検討にある.
人間生活乳歯16例に対して,窩洞形成を行ない,窩底部に間接歯髄覆罩剤Procal応用後,コンポジットレジンAdapticを用いて充填を行なった.術後2日より71日に及ぶ臨床観察の後,病理組織標本として鏡検した.その結果,臨床的には全例無症状に経過した.他方,病理組織学的には,術後短期間例の一部には炎症性の変化を認めたが,これ等は,以後消退し,長期間例においては,修復性の象牙質の添加と正常な歯髄像を得た.
本実験に認めた乳歯髄の変化は,乳歯窩洞形成後に認められる歯髄の所見と類似すること,コンポジットレジン応用後に認められる著明な歯髄の変化を欠くことから,本実験に川いられた間接歯髄覆罩剤Procalは,コンポジットレジンによってもたらされる歯髄の為害作用を遮断して,間接歯髄覆罩剤としての効果を発揮したものと結論した.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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