小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
進行性筋ジストロフィー患者の口腔衛生状態と歯みがき行動能力評価ならびに歯みがき指導法の提案
森主 宜延松本 晉一永井 真弓
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 22 巻 2 号 p. 504-513

詳細
抄録

障害者の歯科健康管理は,障害者の歯科保健に対する自立性が大きな間題となる.
この研究目的は,進行性筋ジストロフィー患者の口腔衛生状態ならびに歯みがきの自己管理能力を評価し,歯みがぎ指導法を検討することである.対象は,南九州病院にて生活する筋ジストロフィー患者70名であつた.調査方法は,歯みがき回数,歯みがき状態,歯ブラシの形態に対する希望,歯みがき時の呼吸に関する間題はアンケートにて行ない,歯みがき能力はdebris index score,歯みがき能力指数,歯みがき方法,歯ブラシの状態,津守の全IQ,A.D.Lにて行なった.以上による研究結果は次の通りである.
1)アンケート調査結果から,歯みがき回数が1日3回の者は75 .4%であった.患者の歯ブラシ形態に対する希望は小さい歯ブラシであり,歯みがき時の呼吸に対する影響はなかった.
2)口腔衛生状態は不良であったが,対象者の97%の者が歯みがき行動の自立が可能であると示された.歯みがき能力はdebris index scoreから,歯みがきによる変化は平均1.12である.頬舌側による差は示されなかつた.しかし歯群別では下顎前歯部と下顎臼歯部とで有意の差が示された.
3)歯みがき能力に影響を与える因子はIQのみであった.
4)この研究の分折法として使用した歯みがき行動能力指数はA.D.L.と有意に相関を示し,特に13歳以上では著明であった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top