小児歯科学雑誌
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歯根未完成永久歯の根管処置に関する臨床X線的観察
藤居 弘通水谷 隆弥町田 幸雄
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1985 年 23 巻 1 号 p. 33-43

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抄録

臨床的に抜髄法の適応症と診断された33歯66根管および感染根管治療法の適応症と診断された38歯53根管,計71歯119根管の歯根未完成永久歯に対し,それぞれ処置後水酸化カルシウムーヨードホルム製剤である"VITAPEX"を用いて根管充填し,最短30日から最長1312日にわたり臨床X線的に経過観察を行った結果,以下の結論を得た。
1)根管充填直の後X線写真による根管充填状態は,抜髄法応用例根管総数66根管中,過剰16例,適正11例,不足39例であり,感染根管治療法応用例根管総数53根管中,過剰28例,適正10例,不足15例であった。
2)臨床的に不快症状の発現した症例は,抜髄法応用例に10例,感染根管治療法応用例に3例認められた。しかし,これらの多くは不快症状の程度が軽度で,1週間以内に消失した。
3)最終観察時のX線写真において根端閉鎖は高頻度に確認されたが,感染根管治療法応用例に比べて抜髄法応用例は根端閉鎖の発現がやや遅れる傾向がみられた。しかし,540日以降の観察例では全ての症例に発現した。4)臨床X線総合成績は,抜髄法応用例33例中,良好23例,概良9例,不良1例であり,感染根管治療法応用例38例中,良好35例,概良2例,不良1例であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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