小児歯科学雑誌
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本学小児歯科に来院した歯の外傷患者の実態調査
辻 甫笹井 浩司清水 紀子篠田 圭司吉安 高左郎奥田 令以西崎 一郎徐 成徳堰口 宗重棚瀬 精三堀口 浩山口 和史田村 康夫前田 光宣吉田 定宏
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1985 年 23 巻 2 号 p. 333-339

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抄録

昭和49年10月より昭和58年12月の9年3ヵ月間に,本学小児歯科を訪れた患者のうち,歯の外傷を主訴として来院した男児63名,女児37名の計100名の年齢0歳10カ月-15歳3ヵ月までの小児を対象として,臨床統計的観察を行った。
その結果,受傷頻度は来院児中1.0%であり,なかでも,1-2歳の受傷が最も多く受傷児全体の39.0%を占め,男女比では63対37と男児のほうが多かった。更に受傷児数の月別分布では4,5月と10,11月に多い二峰性の分布を示した。受傷好発部位は上顎前歯部で全受傷歯の75.6%に達し,1外傷あたりの外傷歯数は1-3歯が92.0%であった。受傷状態については乳歯,永久歯ともに脱臼と歯冠破折がそのほとんどを占めた。また,処置については乳歯では抜歯,経過観察,歯髄処置,整復固定の順であったが,永久歯では,経過観察,歯髄処置,整復固定,再植,抜歯の順であった。受傷原因では衝突が最も多く,次いで転倒であった。来院までの時間では,受傷後何らかの処置を受けたのは受傷当日及び翌日がほぼ同数であったが本学への来院は翌日が最も多く,当日の受診が少なかったことなどが明らかになった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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