抄録
われわれは,岡山大学医学部附属病院歯科口腔外科に,昭和46年1月から昭和55年12月までに受診し,舌強直症と診断された小児123例について,臨床統計観察を行い次のような結果を得た。
1.14歳以下の小児の舌強直症の発現率は1%で,男児対女児の比は,6(75例):4(48例)であった。
2.年齢別では,0歳から3歳までが多く,以後増齢的に減少傾向を示した。
3.主訴別では,発音障害が73例60%と最も多い。
4.癒着程度の分類では,肉眼的に小帯と舌の付着部位が異常であって舌の運動に何らかの障害を認めたものが34例27%と最も多くみられた。
5.麻酔の種類では,35%に全身麻酔GOFが応用され,3歳以下の処置の70%,2歳以下の処置の90%に全身麻酔GOFを応用した。
6.併発した主な口腔疾患では,他の口腔内小帯異常がそのほとんどで,Riga-Fede病・口唇裂・口蓋裂がそれぞれ1例みられた。