小児歯科学雑誌
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摂食障害児の口腔機能評価
尾本 和彦向井 美恵宍倉 潤子庵原 昭一金子 芳洋
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1986 年 24 巻 1 号 p. 138-145

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抄録
咀嚼,嚥下等に障害を伴った摂食障害児に対するリハビリテーションを行っていく際に,口腔機能の評価表を確立することはきわめて重要である。
そこで,今回は口腔機能評価の評価基準を定めるとともに,それを重症心身障害児に応用したところ以下の知見が得られた。
対象は重症心身障害児120名のうち,摂食時に全介助を必要とし,かつ摂食困難を有する者73名であり,ビデオ画像上で口腔機能評緬を行った。結論:
1)ビデオ画像上で摂食動作を繰り返し観察できるので評価の客観性,正確度が増したと考えられる。
2)評価基準は発達的要素を加味してあるため,単に異常の診断ばかりでなく発達的評価,各部位の機能間の関係,訓練効果の判定等きわめて応用範囲が広いと考えられる。
3)対象児集団の摂食機能の特徴は
(1)口唇閉鎖機能,舌運動機能,顎運動機能の未発達が著しかった。
(2)口腔内の食物処理方法は,咀嚼運動機能の未発達が著明で,押しつぶし嚥下が57%と最も多かった。
(3)口唇閉鎖機能の発達と摂食機能の発達との間にはきわめて密接な関連があると推察された。
(4)過敏は他の身体部位よりも口腔により多く存在する傾向が認められた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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