抄録
昭和54年4月から昭和60年10月までの6年7ヵ月の間に本学歯学部小児歯科外来および特殊歯科治療部障害児部門を受診した心身障害児を対象とし,歯科疾患についてその罹患状況を調査した。
対象としては来院した心身障害児671名の内,上原の分類に従って,I群,II群およびIII群に相当する3 8 2 名( 男2 5 7 名, 女1 2 5 名) について検討した。
初診時の年齢は5~9歳にピークを示し,全体の62.3%をしめていた。初診時の平均年齢は, 7.4 歳であった。初診時の齲蝕未処置歯率については, 3~7 歳にピークを示したが,著明ではないが,年齢が増すにつれて減少する傾向がみられた。歯科的処置内容では,修復処置が最も多く全体の37.4%をしめていた。続いて予防処置,抜歯処置,歯髄処置,歯内療法となっていた。年度別の齲蝕処置歯率については,年々増加の傾向を示していた。
リコール時の齲蝕発症については,全身麻酔下において治療を実施した場合,再処置歯率,新生齲蝕歯率とも最も高い値を示し,特殊診療科障害児部門の外来において治療を実施した場合には,最も低い値を示した。