抄録
Hallermann-Streiff症候群は先天性白内障と鳥貌を特徴とする先天奇形である。歯科的異常所見も数多くみられ,鳥貌を初めとし,先天性歯,部分性無歯症,歯の形成不全などが主なものである。
今回,私たちはHallermann-Streiff症候群と診断された7歳10ヵ月の男児について,特に歯科的所見を中心に報告する。
1)頭部X線規格写真の分析結果から,上顎骨,下顎骨双方の前方および下方への発育不全が認められた。
2)咬合状態は切端咬合で,口蓋は尖頭型口蓋で上下歯列弓ともV字型に狭窄していた。
3)萌出歯は全て倭小歯であった。また乳歯の晩期残存が認められた。
4)デンタル型エックス線写真から上顎正中部に埋伏過剰歯が存在した。またパントモ型エックス線写真から部分性無歯症も認められた。
5)歯列弓長径,幅径とも平均値よりも低値を示した。