小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
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顎関節症における矯正治療の積極的導入についての検討
思春期の顎関節症患者の4症例を通して
奥 猛志森主 宜延小椋 正伊藤 学而堀 準一大野 秀夫
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キーワード: 思春期, 顎関節疲, 矯正治療
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1990 年 28 巻 2 号 p. 528-538

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抄録
歯列不正をマルチブラケット装置を用い,積極的に矯正治療を行うことは,顎関節症患者に好ましい咬合の生理的安定を得るために,有効であると考えられる.
今回,Splint療法後に矯正治療を積極的に行った4症例の治療経過ならびに治療前後の咬合状態,咀嚼筋機能の分析により,顎関節症治療における矯正治療の有効性と問題点について検討し,以下の結果を得た.
1.矯正治療中の顎関節症症状(開口障害,疼痛,雑音)は,全て顎間ゴムの使用と関連し,顎内ゴムのみの使用中に発現した症状は,顎関節部違和感であった.
また,顎関節雑音は,III級顎間ゴム使用中に発現し,マルチブラケット装置除去後も残存した.この症例では,マルチブラケット装置除去後は,初診時と比較し下顎頭が,下方位から中央位へ変化し,関節円板の前方偏位がみられた.
2.4症例とも矯正治療により,咬合状態は改善した.
3.咀嚼筋活動評価とSilent Periodの評価から,矯正治療後は,初診時と比較し,咀嚼筋機能は,改善された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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