抄録
著者らは, 本学小児歯科部を受診した,3歳11カ月の女児の上顎右側乳側切歯部に後継過剰歯胚をともなった,真性乳歯過剰歯の1症例に遭遇した.
家族歴,既往歴,全身所見には特記すべき事項は認められない.
口腔内所見は右側乳中切歯と右側乳犬歯の間に2本の歯を認め,いずれも乳歯列内にあり色調,形態,大きさともに正常乳側切歯に類似していた.
X線診査から,過剰歯にも後継歯胚が存在していた.
乳歯過剰歯と永久歯過剰歯の判別について文献的考察を行い,さらにX線不透過度による判定の有用性を示唆した.
現在,大きな歯列不正はないが後継過剰歯胚があることから,長期観察が必要であることが示唆された.