理学療法 - 臨床・研究・教育
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症例検討
歩行獲得となった重症下肢虚血による両下肢切断した症例
松本 純一久保 和也村田 健児榊 聡子山崎 知美坂元 博寺部 雄太大平 吉夫安藤 弘
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2020 年 27 巻 1 号 p. 67-71

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抄録

重症下肢虚血(critical limb ischemia以下CLI)患者は潰瘍や壊疽の進行により,大切断に至ることがある。今回,両側CLIで,一側大腿切断,一側下腿切断となった症例に対し,両側の義足を装着した歩行獲得を目指し,理学療法介入を実施した結果,歩行獲得に至った。義足装着までの期間では,切断術以前から創部の免荷を遵守させながら,拘縮予防や等張性の筋力トレーニングを実施した。義足装着後は繰り返し起立,歩行練習を実施した。理学療法士は日々の体調に合わせ負荷量を調整し,かつ断端の発赤,創傷の再発の有無を確認し,起立練習や歩行練習の負荷量を調整した。義足アライメントの調整は義肢装具士に相談のうえ,慎重に実施したことで歩行器歩行を獲得となった。本症例はCLI による両下肢切断後,義足装着により歩行可能となったことが,日常生活動作や生活の質の向上につながり,自宅退院の目標を達成できたと考えた。

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© 2020 社団法人 埼玉県理学療法士会
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