1991 年 29 巻 2 号 p. 325-329
母親の不安度が小児の歯科治療に対する適応性にどのように影響するかを知る目的で,3~6歳の小児24名とその母親を対象に調査,分析を行った.母親の不安度は,状態・特性不安インベントリーを用いて,母親教室時および小児の歯科治療受診時に測定した.小児の歯科治療に対する適応性は,「全く不適応」から「全く適応」までの5段階評定を行った.結果は次のとおりであった.
1)母親の状態不安は,2度目の来院である母親教室の時より数回目の来院である歯科治療受診時の方が低かった.特性不安は,母親教室時と歯科治療受診時とで差はなかった.
2)母親の母親教室時の状態不安と特性不安および歯科治療受診時の状態不安と特性不安の中で歯科治療受診時の状態不安が最も小児の適応性に影響を与えることがわかった.
3)5,6歳児より3歳児の方が母親の状態不安の影響を強く受けることがわかった.