小児歯科学雑誌
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歯科医師の正立と倒立の顔写真に対する小児患者の視知覚分析
富井 恵理子下岡 正八
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1991 年 29 巻 2 号 p. 396-419

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抄録
実際の歯科治療場面で, 治療椅子上で小児患者が椅坐位で術者と対面して見た時と,仰臥位で術者を逆さに見た時とでは,見方にどのような年齢的な違いがあるかを知るために,術者の顔の正立像と倒立像の2つのテスト画像を作製し,ビジコンアイカメラ装置を用いて小児の眼球運動の測定を行い,分析検討し,次の結論を得た.>1.正立像では,鼻より上方から見始める者が多く,倒立像ではばらつきがあった.走査路は,正立像で目の他に頭部が,倒立像で目の他に下顔面を情報獲得の手がかりにしていた.>2.年齢が低い程,1部位を凝視する傾向にあり,全体の把握にも同様の傾向を示した.>3.年齢が高い程,顔の内部の特徴的な部位のみを走査することで顔の情報を得る傾向を示した.顔のどこに視点をおいても全体像が把握でき, 瞬時に顔を認知していることが示唆された.>4.小児には,一側性像位を認めた.>5.9歳以上のグループでは,倒立像を頭の中で回転させながら,正立像に重ね合わせているような方向性が認められた.>6.これらのことより,歯科治療場面において,椅坐位で歯科医師と対面した時と,小児を治療椅子上に,仰臥の状態にしたままで歯科医師との視覚的コミュニケーションをとる場合では,歯科医師の顔の認知の方法に年齢的差異があることがわかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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