小児歯科学雑誌
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Schwartz-Jampel 症候群の一症例
三木 真弓清水 謙寳田 貫西田 文彦安富 豊木下 史代西野 瑞穂
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1991 年 29 巻 2 号 p. 459-467

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抄録

不正咬合を主訴として8歳7カ月時に来院したSchwartz-Jampel症候群の女児症例について,全身的,局所的に検討を加え次の所見を得た.全身的には(1)短躯,(2)眼裂縮小と小さい口を伴う特異な顔貌,(3) 股,膝,肘,手関節の拘縮と運動制限,(4)歩行困難,(5)知能正常,(6)血液検査でMCV,MCHのやや低値;CPK,LDHの上昇;IgA,IgGの低値などが認められた.顎口腔領域では,(1)上下顎骨,とくに上顎骨の著しい劣成長と正常範囲内の歯の大きさとによる著しい不正咬合,(2)歯数不足はない,(3)高口蓋,(4)下顎頭,下顎窩に形態異常はなく,開口時に下顎頭の前方滑走も十分行われている,(5)筋突起が関節突起より長く,Antegonial Notchがやや大きい,(6)側頭筋前腹ならびに咬筋で安静時にも,咀嚼時のInterval期間中にもcontinuous muscle activityが認められる,(7)咀嚼リズムが著しく不安定である,などの所見が認められた.
Schwartz-Jampel症候群の本症例はきわめて特異な顎口腔所見を呈するため,顎発育,咀嚼筋活動,顎運動,顎関節などの状態を十分に観察しながら,可及的望ましい永久歯列の完成を誘導する必要のあることが明らかになった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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