小児歯科学雑誌
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混合歯列期における上顎側方緩徐拡大が上下顎の各歯間幅径に及ぼす影響
小村 隆志村上 充子大嶋 隆祖父江 鎭雄武内 健二郎
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1992 年 30 巻 4 号 p. 843-848

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抄録
混合歯列期の患者に対して上顎の側方拡大を緩徐法で行った時,上下顎の各歯間幅径にどのような影響を及ぼすかを調べた。上顎歯列の拡大を必要とする小児19名(男子9名,女子10名,年齢6~11歳,平均8.6歳)に1週間につき0.2mmの上顎側方緩徐拡大を行った。各症例の拡大前後の全顎模型について,上下顎の乳犬歯間幅径,第一乳臼歯間幅径,第二乳臼歯間幅径,および第一大臼歯間幅径を計測し,その観察期間中の各歯間幅径の変化量を算出した。また,各歯間幅径の累年的成長変化について6歳から13歳までの日本人について調べた大坪の研究の各歯間幅径の年齢別の平均値に基づいて,その近似曲線を求め,その式から各症例の研究期間中の各歯間幅径の成長量を見積った。この見積りの成長量と模型上で計測された実際の歯間幅径の変化董とをWilcoxon signed-rankstestを用いて検定を行い,比較した。
上顎においては,すべての歯間幅径の変化量は,それらに対応する幅径の見積り成長量より有意に大きかった。下顎については,乳犬歯間および第一乳臼歯間の実際の変化量とそれぞれに対応する幅径の見積り成長最との間には有意の差は認められなかったが,第二乳臼歯聞と第一大臼歯間では,実際の変化量がそれぞれに対応する幅径の見積り成長量より有意に大きかった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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