抄録
適切な栄養管理の第一歩は,患者の栄養状態を客観的に判断することにあり,その方法として栄養不良の質,程度,期間などを正確に評価する栄養評価法が必要である.今回我々は,重症心身障害児(者)に対する栄養評価をより的確に行うための基礎としてRTP(PA,RBP,TF)及びCH50の測定を行い以下の結果を得た.
1.RBPはコントロール群より1回目,2回目とも有意に(p<0.05)低い値を示した.
2.CH50は1回目,2回目ともコントロール群より著しく低い値を示した(p<0.001).
3.運動機能が著しく制約されている群(寝たきり,座れる,歩行が障害されている)のPA,RBPは,そうでない群より有意(p<0.02,p<0.05)に低い値を示した.
4.これらの結果はRTPは短期間の蛋白質や栄養の変化に大変鋭敏であり,重障児(者)の潜在性の栄養不良や食事療法の指針を得るために有用であることを示唆していると思われた.