抄録
三糖類のパノースを主要構成成分とする糖質甘味料,パノリッチ®およびパノリッチS®の齲蝕誘発能を,in vitroおよびin vivoの実験系において検討した.その結果,パノリッチおよびパノリッチSは,ミュータンス・レンサ球菌による酸産生の基質となるものの,ミュータンス・レンサ球菌のグルコシルトランスフェラーゼによるグルカン合成を抑制し,ミュータンス・レンサ球菌のスクロース依存性平滑面付着を阻害した.また,ミュータンス・レンサ球菌を感染させたSPFラットを用いた動物実験において,パノリッチおよびパノリッチSはきわめて弱い齲蝕誘発能しか示さなかった.