小児歯科学雑誌
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幼児の咬合力と顎顔面形態との関連性
佐橋 喜志夫加藤 哲
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1993 年 31 巻 5 号 p. 919-926

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抄録
幼児の咬合力と顎顔面形態との関連性を検討するため,Hellmanの歯牙年齢IIAで5歳児60名の咬合力の測定と正貌および側貌頭部X線規格写真のRicketts分析を行い,以下の結果を得た.
1.咬合力の平均値は男児25.8±4.2kg,女児23.5±3.8kgで男女間に有意差を認めた.身長の平均値は110.3士4.1cm,体重の平均埴は18.9±2.0kgで男女間に有意差を認めなかった.また,咬合力と身長および体重との間に有意な相関関係を認めなかった
2.短顔型,中顔型,長顔型の顔面形態で,咬合力の平均値に有意差を認めた.そして,この順に咬合力の平均値は低い数値を示していた.
3.咬合力と下顎枝関節突起部の長さおよび下顎骨の屈曲との間に有意な正の相関関係を認めた.また,咬合力と下顎枝の高さとの間に有意な正の相関関係を認めた.
4.咬合力と下顎乳前歯の突出量との間に有意な負の相関関係を認めた.また,咬合力と咬合平面の傾斜との間に有意な負の相関関係を認めた.さらに,咬合力と下顎後方臼歯の萌出余地との間に有意な正の相関関係を認めた.
以上のことから,乳歯咬合完成期の幼児の咬合力と顎顔面形態,下顎骨の形態,頭蓋・顔面に対する下顎骨の位置および歯列との間に関連性を認めた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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