抄録
小児歯科臨床の目標である「健全な永久歯列咬合」を育成するためには,齲蝕や歯列・咬合の異常を早期に発見し,これに対応しなければならない.そのためには,一般の人々とくに両親の口腔に対する関心の高さが重要となる.
今回,名古屋市と福岡市の中学生・高校生407名とその両親404名を対象に,歯列・咬合に関するアンケート調査を行った.その結果,次のことが明らかになった.
1)前歯部叢生と反対咬合に関しては,かなり正確に認識されている可能性がある.
2)半数以上の人が自分の歯列・咬合に対して無関心であった.しかし一方で,両親は自分の子供の歯列・咬合に対して健康観として強い関心を寄せていた.
3)全身の健康と関係するかという質問では,「虫歯」が最も多く,次いで「咬み合わせ」「歯並び」の順であった.
4)歯科用語の「歯槽膿漏」「矯正歯科」「歯周病」は8割以上の認知度があった.両親においては,「咬合」「反対咬合」「顎関節症」の認知度も高かった.
今後歯列・咬合に対する社会の認識を高めていくには,審美観としてだけでなく健康観としてアピールしていくことが有効であると思われる.