抄録
昭和55年から平成2年までの11年間で鶴見大学歯学部附属病院小児歯科外来に永久歯の外傷を主訴として来院した260名の490歯をEllis分類に従って分類して臨床的な観察を行い,さらに経過観察し得た症例300歯については処置後の経過も観察し,次のような結果を得た.
年度別受傷者数は,昭和61年以後から年々増加傾向を示していた. 受傷の発現年齢は8歳に集中していた. 性別は2:1で男子のほうが多かった. 受傷の月別分布は,2月,5月,10月に多くみられた. 受傷時刻は,午前8時,午後1~2時,および4時の時間帯に集中していた. 受傷原因は,転倒が126例(48.5%)で最も多く,衝突20.8%,交通事故9.6%,転落6.9%などとなっていた. 1人あたりの平均受傷歯数は1.9歯であった. 歯種別では上顎中切歯が357歯(72.9%)で最も多かった.
外傷歯の分類では,7級が252歯(51.9%)で最も多く,次いで2級の78歯,3級の57歯,4級の38歯,1級の31歯,6級の14歯,8級の7歯の順となっていた. 歯冠破折の場合,露髄のないものは8歳に多く,髄腔に及ぶものは歯根完成時あるいは高年齢に多かった. 脱臼の場合には歯根が未完成な時期あるいは5~6歳で最も高い割合を示し,さらに10歳以降でも受傷の割合が比較的高かった.
外傷歯処置後の再処置の頻度については,2級の外傷で3歯(6.8%),3級の外傷では8歯(22.2%)に歯髄壊死がみられ,歯内療法を要した. 7級の再処置の頻度は再植の70.4%,転位歯の65.2%,動揺のみの15.7%であった.