小児歯科学雑誌
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先天性心疾患を伴ったKlinefelter症候群の1例
太田 紀子船越 禧征大谷 敬三山尾 雅朗大東 道治
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1998 年 36 巻 1 号 p. 173-178

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抄録

Klinefelter症候群は女性様乳房,小睾丸,無精子症,卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)が高値を示し,「少なくとも2つのX染色体と1つのY染色体をもつ男性性腺機能不全」と定義されている。今回,著者らは右室低形成,冠動脈瘻を伴った純型肺動脈閉鎖の先天性心疾患を合併し,Taurodontteethを有したKlinefelter症候群の1例を経験した。患児の頭部は前後径に短く,頭幅の広い短頭型を呈し,中顔面の劣成長がみられた。口腔内所見として萌出している全乳歯にエナメル質減形成を認め,エックス線写真から上顎右側第一乳臼歯,下顎右側第一,第二乳臼歯は高度のTaurodont teethが,上下顎左側第一,第二乳臼歯は中等度のTaurodont teethを呈していた。模型分析では個々の歯の歯冠近遠心幅径ならびに歯列弓の大きさは標準値に比較して大きかった。頭部エックス線規格写真分析では上顎骨の劣成長と下顎前突がみられた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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