2000 年 38 巻 3 号 p. 494-501
1.近交系マウス10系統AKR/J,CBA/J,DBA/2J,JF-1,P/J,PL/J,RF/J,SJL/J,SM/J,C57BL/6Jの合計168匹を用い8週齢以降の下顎骨成長変化を検討した。その結果,すべての系統において,下顎骨のオトガイ部-下顎頭相当部ならびにオトガイ部-下顎角相当部の各2点間距離の大きさは10週齢以降でほぼ変化がなくなることが認められた。したがって,下顎骨形態形成,特に大きさに関与する遺伝子特定のための交配実験を行う上では10週齢以降に得られた供試マウスの下顎骨は,系統特有な表現型として用いられることが明らかとなった。
2.大きい顎骨を有するRF/Jと小さい顎骨を有するSM/Jの2系統について,連鎖解析に必要な遺伝子マーカーを求めた。通法に従い脾臓より抽出したDNAを用い,染色体5,11,14番上に2系統間で多型性を示すマイクロサテライトマーカーの検出を行ったところ36個(検出率30.5%)が認められ,連鎖解析が可能であることが示唆された。