小児歯科学雑誌
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マウス第3臼歯欠如の成因に対する遺伝学的研究
中村 均朝田 芳信前田 隆秀
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2000 年 38 巻 3 号 p. 502-508

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抄録

第3臼歯に限局して歯の欠如を高頻度に有するEL/seaマウス(以下ELとする)を用い歯の欠如の成因に対する遺伝的要因の関与を検討するため,近交系マウスであるC3H/HeJマウス(以下C3Hとする)および野生型近交系マウスであるMSM/Msfマウス(以下MSMとする)の2系統とELマウスとの交配実験を行い以下の結論を得た。
1)EL(♀)とC3H(♂)マウスとの交配から得られたFlマウス,EL(♀)とMSM(♂)マウスとの交配から得られたF1"マウスならびにMSM(♀)とELマウス(♂)との交配から得られたFl'マウスのすべての交雑第1代で歯の欠如はみられなかった。
2)歯の欠如を持たないF1マウス同士の交配から得られた交雑第2代F2マウス85匹のうち6匹(7.1%)に歯の欠如がみられた。
3)歯の欠如を持たないF1'マウス同士の交配から得られた交雑第2代F2'マウス44匹のうち3匹(6.8%)に歯の欠如がみられた。
4)歯の欠如を持たないF1"マウス同士の交配から得られた交雑第2代F2"マウス56匹のうち7匹(12.5%)に歯の欠如がみられた。
5)F1'マウスとELマウスとの戻し交配から得られたN2マウス64匹のうち7匹(10.9%)に歯の欠如がみられた。
ELマウスの歯の欠如成因に対しては遺伝的要因の関与が大きく,遺伝形式は劣性遺伝であり複数の遺伝子が関与している可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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