小児歯科学雑誌
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酸処理エナメル質の再石灰化に及ぼす獲得被膜の走査電顕的観察
高橋 智秀高見澤 豊大森 郁朗
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2000 年 38 巻 3 号 p. 584-588

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抄録
本研究の目的は酸処理後,獲得被膜で覆われた領域を,覆われていない領域や再石灰化領域から識別できるかどうかを走査電子顕微鏡(SEM)観察によって研究することであった。研磨したウシエナメル質ブロックの歯表面を対象として,この同一歯面上に順次酸処理領域,獲得被膜吸着領域,再石灰化領域を作製し,その表面および縦断面をSEMによって観察した。
一部試料にはクマシーブリリアントブルー(CBB)染色を施した。CBB染色による獲得被膜吸着領域と再石灰化領域の染色強度は近似していた。SEMによる縦断面観察では酸処理領域,獲得被膜吸着領域および再石灰化領域の間に明確な境界線はみられなかったが,表面観察では各々の4つの領域の相違が確認された。
また,これらの所見から獲得被膜は再石灰化期間中もエナメル質表面に明確に維持されており,被膜に覆われた酸処理エナメル質上で再石灰化が起きていたことが示された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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