小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
歯科治療ならびに摂食指導により著しい体力向上がみられたCornelia de Lange症候群の1例
佐藤 衣吹清水 武彦及川 栄郎及川 二郎岡本 和久前田 隆秀
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 38 巻 3 号 p. 657-665

詳細
抄録

本症候群はCornelia de Langeによって1933年に発表されて以来,数多くの報告例がある。
著者らは本症候群を有する4歳8か月の女児に遭遇し,歯科治療および摂食指導を施し,興味ある知見を得たので報告する。
1)全身的所見としては知能障害,出生時低体重,身体発育障害,小さな頭,睫毛・眉毛の過剰発育,耳介の低位付着,短い四肢,拇指の近位付着,第5指中節骨形成不全,足指の合指,全身的多毛,薄い口唇,両口角の下方屈曲,上を向いた鼻孔,長い人中,猿線,低くうなるような声,ならびに先天性心疾患が認められた。
2)手根骨の発育遅滞を認め,骨年齢は約2歳と推定された。
3)歯数の異常は,認められなかった。
4)歯の形態異常と咬合の異常は,齲蝕による歯冠崩壊が著しかったため確認できなかった。
5)下顎歯列弓の幅径・長径ともに小さかった。
6)高口蓋,口蓋裂は認められなかった。
7)口腔衛生指導により歯肉炎が消退した。
8)歯科治療とともに行った摂食指導により,咀嚼および嚥下がスムーズとなり,食物摂取量が増加し栄養不良が改善した。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top