抄録
小窩裂溝填塞材(以下,シーラントと略す)は幼若永久歯や乳歯の小窩裂溝齲蝕の予防,ならびに齲蝕進行抑制手段として,その有用性が認められ,とりわけ小児歯科臨床領域で広く用いられている.本研究で用いた光重合型フッ素徐放性シーラント(以下,Teethmate-F1®と略す)は,従来のシーラントの物理的齲蝕抑制効果に加えて,フッ素を約1wt%含有し,口腔内でフッ素を徐々に放出して,填塞小窩裂溝ならびに周辺歯質へフッ素を供給することによって,歯質の耐酸性を高める能力を有する1液性の光重合型シーラントであって,市販されていたTeethmate-F®の硬化特性等に改良を加えたシーラントである.これを幼若永久歯に填塞し,平均1年1か月経過後の保持状態を評価するとともに,齲蝕進行抑制効果を検討した.この結果,シーラントの完全保持率は83.5%であり,填塞部位の齲蝕が進行していた症例は認められなかった.