小児歯科学雑誌
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乳歯列正常咬合を有する小児の咬合力分布について
小方 清和苅部 洋行長谷川 祐子荻原 和彦大出 祥幸
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2001 年 39 巻 1 号 p. 97-102

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抄録
乳歯列における咬合力分布を示すことを目的として,齲蝕がなく顎口腔系に機能異常を認めない乳歯列正常咬合の小児42名(男児21名,女児21名),平均年齢4歳6か月(3歳3か月~5歳9か月)を対象とし,デンタルプレスケール®50H-Rタイプ(富士写真フイルム社製)を用いて咬合力の測定を行った.咬合力分布は,歯列全体の咬合力に対する各歯の咬合力を百分率で表し平均値を求めた.さらに,左右側歯列における咬合力の均等性を示す指標として,左右歯列における咬合力の差が総咬合力に占める比,非対称性指数(A.I.)を求めた.その結果以下の結論を得た.
1.すべての値において男女児間に有意差は認められなかった.
2.総咬合力の平均値は430.6Nであり,個歯咬合力の左右平均値は,第二乳臼歯129.5N,第一乳臼歯46.4N,乳犬歯23.8N,乳側切歯9.5N,乳中切歯6.1Nであった.咬合力分布の左右合計は,第二乳臼歯60.9%,第一乳臼歯21.5%,乳犬歯11.0%,乳側切歯4.0%,乳中切歯2.6%であった.
3.咬合力のA.I.は,8.9±6.5%であり,乳歯列の咬合診査の指標となると考えられた.乳歯列正常咬合を有する小児における咬合力および咬合力分布について検討を行った結果,乳歯列における前後的咬合力分布は82.4%が乳臼歯部に集中しており,特に60.9%を占める第二乳臼歯の咬合に対する役割は大きいと考えられた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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