小児歯科学雑誌
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歯冠象牙質吸収がみられた埋伏下顎第一大臼歯の萌出誘導
守安 克也今泉 洋子大野 紘八郎大森 郁朗
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2001 年 39 巻 4 号 p. 890-900

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抄録
下顎左側第一大臼歯の萌出遅延を主訴として来院した9歳2か月女児において,水平に埋伏した下顎左側第一大臼歯の歯冠内に象牙質吸収がみられた.本論文では,その臨床所見ならびに当該歯の萌出誘導について報告した.
本症例の初診時のエックス線写真所見から,下顎左側第一大臼歯は歯冠を近心に向けて水平に埋伏しており,歯冠近心側の象牙質内に直径約4mmの球形のエックス線透過像が認められた.その透過像は歯冠の頬側に位置し,内側は近心髄角に近接して,外側は歯頸部エナメル質にまで広がっていた.歯冠外形には異常はみられなかった.
下顎左側第一大臼歯の萌出誘導のために,下顎左側第二小臼歯の抜歯および第一大臼歯部の開窓を行った.その後,クラウンディスタルシューとマルチブラケット装置を用いた萌出誘導処置を行った結果,第一および第二大臼歯の歯軸は直立し,咬合平面に達するまでに萌出した.
下顎左側第一大臼歯萌出後,口腔内に露出した象牙質吸収相当部の近心頬側面のエナメル質には実質欠損や色調の異常も認められず,また,歯髄反応にも異常を認めなかった.定期的に撮影したエックス線写真所見では,歯冠内の象牙質吸収の大きさや位置には変化がなく,歯周組織にも異常な所見はみられず,非進行性の吸収性病変であると考えられた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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