小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
口腔内出血が初発症状の血液疾患の4例
甲原 玄秋佐藤 研一
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 39 巻 4 号 p. 908-914

詳細
抄録
口腔内出血を初発症状として判明した血液疾患を4例経験した.14歳の男児で初診時は上顎左右犬歯間の歯肉辺縁から持続する出血を認めた.来院の12日前,歯肉炎の診断により刷掃を指示されていた.その後貧血を生じ自宅で転倒し,救急車にて搬送された.血液腫瘍科で急性骨髄性白血病,播種性血管内凝固症候群の診断.血小板数は1×104/μlで止血は困難と思われたが,上顎に止血スプリントを装着し止血した.
5歳の女児で上下全歯の歯肉辺縁から持続する出血を認めた.血小板数は0.7×104/μlであったが上下顎にスプリントを装着し止血できた.特発性血小板減少性紫斑病が疑われ,γ グロブリンの大量療法により第5病日には血小板数は5×104/μlに上昇したためスプリントを除去したが後出血をみなかった.血小板数の正常化後その減少はなく,急性特発性血小板減少性紫斑病と診断できた.
1歳6か月の男児で舌咬傷部から持続性の出血を認めた.血液腫瘍科にて血友病Aの診断を得た.舌の縫合と第VIII因子の補充療法を行い,再出血をみなかった.
8歳の男児で,膿瘍切開後止血困難を生じ,3か所の医療施設を受診し当院を紹介された.切開部より持続する出血を認めたが圧迫にて止血が得られた.凝固因子の検査により血友病B軽症型が判明したためスプリントを作成し,創面の保護を図り,欠乏因子の補充をすることなく後出血をみなかった.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top