抄録
急性リンパ性白血病の治療を目的として同種骨髄移植を施行後,慢性移植片対宿主病(GVHD)を発症した患児に対する口腔管理を行ったところ以下のような知見を得た。
1.初診時の年齢は2歳7か月であり,全身的には,皮膚,肝,眼にGVHD症状を認めた。口腔症状として,唾液分泌低下による口腔乾燥とそれに起因すると思われる多発性齲蝕および歯肉炎,口唇の乾燥と亀裂,舌乳頭の萎縮および舌の白斑状病変,頬粘膜の苔癬様病変,頬粘膜にカンジダ症を認めた。
2.患児の唾液試料中からHSV1とCandida albicansを検出し,アシクロビル投薬およびアムホテリシンB含嗽を行った。齲蝕歯に対する処置として,抜歯および乳歯用金属冠とコンポジットレジンによる歯冠修復を行った。口腔衛生状態改善と歯肉炎に対する処置として,徹底したプラークコントロールを行った。2~3か月毎の定期健診による口腔管理を行った。
3.小児歯科医は,徹底したプラークコントロールを行い,齲蝕予防ならびに口腔軟組織疾患の予防によって口腔内の病原細菌量を抑制し,小児科医とのチーム診療に積極的に取り組むことによって全身感染症を予防し,皮膚,眼,肝などの多臓器に出現するGVH反応の軽減に努めることが重要である。