小児歯科学雑誌
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小児の口呼吸に関する実態調査
保育園年長児の保護者に対するアンケート調査
小久江 由佳子猪狩 和子小松 偉二真柳 秀昭
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2003 年 41 巻 1 号 p. 140-147

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抄録

近年,口呼吸をする小児が増加しているといわれているが,実際に口呼吸をしている小児の割合や口呼吸が引き起こす問題点に関しては未だ明らかにされていないことが多い.そこで,今回小児における口呼吸の実態を調査する目的で仙台市内の保育園11か所における年長児クラス(4~6歳)275名の保護者を対象にアンケート調査を行い,206名から回答を得た(回収率74.9%).アンケートにより,口呼吸吸群群,鼻呼,中間群と群分けし比較したところ,以下の結果を得た.
1.保育園児の22.8%が口呼吸をしている可能性が高い.
2.口呼吸群は鼻呼吸群と比較して以下のような傾向があった.
1)鼻咽頭疾患の既往率が高い.
2)口唇,口に乾燥がみられる.
3)唇が弛緩し,上唇がめくれている.
4)風邪をひきやすい.
5)よく聞き返す.
6)前歯部の咬合は正常の割合が低い.
7)咀嚼嚥下が上手にできない.
8)猫背である.
3.口呼吸は離乳時期,おしゃぶりの使用の既往との間に関連は認められなかった.
以上より口呼吸は様々な問題点を引き起こしていることが示唆され,外来患者における呼吸様式を把握することの重要性ならびに耳鼻咽喉科との連携強化の必要性を再確認した.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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