小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
酸性フッ素リン酸溶液の性状とエナメル質の耐酸性の向上に関する検討
何 陽介岡本 佳三馬場 篤子本川 渉宮崎 光治
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 45 巻 1 号 p. 65-73

詳細
抄録

2種類の性状の異なるAPF[液状(L-APF)・ゲル状(G-APF)]をウシエナメル質に作用させ,表面の微細構造の変化,断面の元素分析,アルカリ可溶性のフッ化物の析出量の測定,耐酸性の変化について検討を行った.L-APF群とG-APF群と表面の微細構造を観察した結果,いずれの表面にも球状構造物が析出したが,G-APF群のほうが球状構造物がやや大きいように見受けられた.また,EPMA分析により,フッ素取り込み深度および取り込み量ともにL-APF群が多いという事が明らかとなった.さらにAPF処理後のエナメル質のアルカリ可溶性フッ素量は,L-APF群がG-APF群と比較して有意に多く,耐酸性試験の結果ではL-APF群がコントロール群と比較し,有意に耐酸性が高い事が明らかとなった.以上の結果からL-APFはG-APFと比較し,より高い齲蝕予防効果があることが示唆された.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top