小児歯科学雑誌
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唇顎口蓋裂児に認められた下顎乳臼歯部癒合歯の2例
湯浅 真理山田 亜矢岩本 勉福本 敏野中 和明
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2008 年 46 巻 3 号 p. 367-372

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抄録

乳歯の癒合/癒着は,小児歯科の臨床で認められる発症頻度の高い歯の形態異常のひとつである。健常児における癒合歯/癒着歯発現部位の大半は下顎乳前歯部であり,下顎乳臼歯部の癒合歯/癒着歯は稀である。今回,当科で定期管理中の唇顎口蓋裂児の2症例に,下顎右側乳臼歯部の癒着歯あるいは癒合歯を認めた。
唇顎口蓋裂児は,裂隙の存在または骨欠損による口腔前庭欠如のため,ブラッシングが困難であり,プラークコントロール不良傾向にある。加えて,エナメル質形成不全等の歯の形成異常も多いことが知られている。これらの理由で,健常児と比較して齲蝕罹患率が高いとされてきた。さらに今回,顎裂との関連性がほとんどないように思われる下顎乳臼歯部にも癒着歯あるいは癒合歯が出現することが明らかとなった。これらのことから,唇顎口蓋裂児の歯科的定期管理を行う際このような特徴を考慮した積極的齲蝕予防処置を継続して行っていく必要性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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