小児歯科学雑誌
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CPP-ACP配合ペーストがウシエナメル質の脱灰・再石灰化に及ぼす影響
庄内 聡子小方 清和割田 幸恵苅部 洋行
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2008 年 46 巻 4 号 p. 431-439

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抄録

本研究は,ウシエナメル質を用いた脱灰・再石灰化処理のpHサイクリング実験において,CPP-ACP(カゼインホスホペプチド-非結晶性リン酸カルシウム複合体)配合ペースト(MI Paste®,GC社製)が齲蝕予防に果たす役割について検討した。0.01%フッ化ナトリウム(NaF)溶液とCPP-ACP,キシリトールそれぞれの単独使用もしくは併用での再石灰化促進効果を知るため,0.5時間の再石灰化処理を行い,0.1M乳酸-乳酸ナトリウム緩衝液(1mM CaCl2,0.6mM KH2PO4:pH5.3)に23.5時間浸漬する操作を4日間繰り返した結果,以下の結論を得た。
1.CPP-ACPは,脱灰溶液中でエナメル質表層を維持する作用を示し,キシリトールとの共存で,中層から深層における再石灰化促進効果も同時に認められた。
2.CPP-ACP非存在下でキシリトールを作用させた場合には,エナメル質表層を維持する効果は弱かったが,エナメル質中層から深層における再石灰化効果が認められた。
3.キシリトール非存在下でCPP-ACPを作用させた場合には,エナメル質表層を維持する効果は高かったが,エナメル質内部の再石灰化が低く,結果としてミネラル喪失量は高くなった。
以上の結果から,フッ化物存在下でのMI Paste(R)の応用はCPP-ACPによるエナメル質表層の維持と,キシリトールによるエナメル質内部の再石灰化促進を示し,齲蝕予防に有効であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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