抄録
当科でフォローしている小児生体肝移植術後門脈閉塞症6例を対象にその現状と問題点について検討した.現疾患は全例胆道閉鎖症で移植時年齢は6例中5例が乳児期であった.診断されたのは移植後平均1年3カ月で,診断前臨床症状としては難治性腹水がみられた1例のみであった.治療はバルーン拡張術が試みられたが全例で不成功に終わった.その後3例で消化管出血を認め,2例で脾腎シャント手術を行い改善がみられたが,1例はportopulmonary hypertension(PPHTN)を合併しており,再移植を行ったが右心不全のため失った.難治性腹水の1例は利尿剤と経過観察で改善し,他の2例は観察期間8年と12年の現在,臨床症状を認めていない.本症は発症前において臨床症状に乏しく,一旦発症すれば難治性で,消化管出血,肺血管合併症をきたすと致死的となるため,定期的に頻回のドップラー超音波検査など早期発見・早期治療が肝要と考えられた.