日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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原著
各種門脈変更術の肝臓に対する影響
—実験的検討—
橋本 直樹
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2010 年 16 巻 1 号 p. 36-40

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抄録
肝再生因子としての門脈血の中で,小腸血と膵ホルモンでは,どちらが肝にとって大切かを検討するため雑種成犬(10~15 kg)に以下のモデルを作成した.①脾静脈血のみをsystemicへdiversionするsplenocaval shunt(SC shunt),②小腸血のみをsystemic diversionする小腸自家移植(MC shunt),③門脈血をすべてsystemicへdiversionするPortacaval Shunt (Eck),④Sham ope (Control)を作成し,術後4週目,アミノ酸,肝ATP,肝血流,NH3を比較し,肝に対する影響を検討した.SC shunt, MC shuntともEckにみられるようなamino acid imbalanceや高NH3血症はみられなかった.しかし,肝ATPでは,SC shuntでは対照群に近似したが,MC shuntでは,対照群に比し有意に低値を呈した.以上より門脈血因子としては,小腸血の方が脾静脈血(膵ホルモン)より肝にとって重要なことが示唆された.それ故,小腸移植の際の静脈ドレナージとしては,SMV-IVCよりSMV-Portal吻合が望ましい.
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© 2010 日本門脈圧亢進症学会
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