日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
小児肝前性門脈圧亢進症の診断と治療
—過去8年間で経験した自験例の臨床経過と共に—
松下 優美八木 実水落 建輝西浦 博史牛島 高介高木 章子浅桐 公男田中 芳明鹿毛 政義猪口 隆洋
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2010 年 16 巻 1 号 p. 41-47

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抄録
小児の肝前性門脈圧亢進症(以下,本症)は主に肝外門脈閉塞症(EHO:extra-hepatic portal obstruction)や,肝内presinusoidal blockをきたす先天性肝線維症(CHF:congenital hepatic fibrosis)に大別される.これらは小児領域での突然の消化管出血の原因疾患として重要である.本論文では,自験例2例を紹介し,本症の原因,診断および治療,小児領域における問題点を述べる.CHFの1例は13歳男児,吐血で発症し,その後EVL, EISを繰り返したが,胃静脈瘤の発達と白血球,血小板の低下のため5年後にHassab手術を施行した.EHOの1例は8歳女児.心房中隔欠損症(ASD)を合併しており,吐血で発症.高度食道静脈瘤でありEVL, EISの適応を検討したが,ASDへの影響を考え,Hassab手術を先行して行った.その後EISにて残存する食道静脈瘤の追加治療を施行した.
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© 2010 日本門脈圧亢進症学会
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