2011 年 17 巻 2 号 p. 109-113
門脈圧亢進症患者における直腸静脈瘤の頻度はさまざまであるが,時に大出血を来す病態である.最近は門脈圧亢進症患者の予後改善により,食道胃静脈瘤以外の異所性静脈瘤の頻度が増加している.その中で最も頻度が多いのは直腸静脈瘤で,門脈圧亢進症患者が下血を起こしたときには本症も念頭に入れて,内視鏡検査を行うことが重要である.直腸静脈瘤を含めた門脈側副血行路全体の評価にはmagnetic resonance angiographyやcomputed tomographyが有効であるが,局所血行動態診断には超音波カラードプラ法が有用である.超音波カラードプラは直腸静脈瘤の存在診断のみならず,血流速度から直腸静脈瘤のgradeの評価が可能である.すなわち,血流速度の計測により,治療適応の判断に有用であることが示唆された.