抄録
今回,食道静脈瘤に対して内視鏡的加療を施行し,その後破裂した胃静脈瘤に対するHassab手術後に発達・破裂し,経門脈的塞栓術にて治療し得た直腸静脈瘤の2例を経験した.1例は経皮経肝的塞栓術(percutaneous transhepatic obliteration:PTO)を施行し,1例は門脈本幹の血栓と海綿状血管増生(cavernomatous transformation)を有することから,経皮経肝的アプローチは困難と考え,経回腸静脈的塞栓術(transileocolic vein obliteration:TIO)を施行した.2例とも再出血をきたすことなく,止血を得た.静脈瘤治療後の血行動態の変化を考える上で貴重な症例と考えられた.